第5回 多文化社会実践研究フォーラム 報告書

2021年12月4日(土)にオンラインで開催した「第5回 多文化社会実践研究フォーラム」ではたくさんの方々にご参加いただき、ありがとうございました。
この度、報告書を作成しましたので、お知らせします。

フォーラムでは、2018年から3年にわたり、「多文化社会における市民活動と専門職」を中期的テーマに据え、「多文化社会を問う」「多文化社会における市民活動を問う」「多文化社会における専門職を問う」と毎年テーマを設定し、 議論を深めてきました。

本報告書はその締めくくりとなる「 多文化社会における専門職を問う」をテーマとした2021年度フォーラムの内容をまとめたものです。ぜひご覧ください。

『第5回 多文化社会実践研究フォーラム「多文化社会における専門職を問う-私はこの10年、何をしてきたか? 私たちはこれからの10年、何をしていくのか?」』報告書(PDF)

また、レポートに掲載した以外にも、参加した学生の方々からも多数の感想等いただきました。下記に掲載いたします。

なお、来年度の実施については、これまでの議論を踏まえて検討いたします。
これまでのフォーラムにご参加くださった方々にあらためてお礼申し上げます。


フォーラムに参加した学生のみなさんからのコメント

「多文化共生や国際協力に対して熱い思いを持つ方々が多く、「そうなのか」と思う場面ばかりでした。私自身、専門職ってどのようにとらえたらいいのだろう、と思っていましたが、別の参加者の方も同じことを思っていたようで、「専門職とは」といった話になり、「一概にこれであるとは言えないと思う」と一人の参加者の方がおっしゃっていました。どんな事業の内容もすべて同じではないし、その事業を行うための知識を持って、それを生かしながら、人のために働く職業のことなのかなと感じました。だいぶ大まかではありますが、この会に参加した一つの答えが見えたと思います。人を相手にしている方々だからか、とてもフレンドリーで活発な会だったと思います。話を聞くばかりで、内容にあまり参加できなかったことに悔しさも少し残りました。ですがいろんな場で活躍する方々とオンライン上でコミュニケーションをとることができ、いろんな考え方、やりたいことを共有しあえ、とても有意義だったと感じています。」(H.S.)

「まず、最初特に弁護士の関さんの講義は在留外国人の動向についてだったが、憲法を始め、法律や、その他ガイドラインなどの説明もしてくださり、普段は聞けない情報を細かく説明してくださった。しかし、やはり難しい言葉も中には多く、勉強不足の自分にはわからないことも多くあった。それから、TaSSKの副代表理事である山西さんが10年間の多文化社会実践、研究の振り返りでお話ししていたことも印象深かった。想像、予測をし、新たな課題を設定していくということだったが、それ自体がとても難しいことであるような気がした。色々なネットワークがあること、支援してくれる団体があることをまずは日本に住むすべての外国人に知らせることができる方法はないかと考えた。
この集会自体は、似たような支援を行っている機関の人々が今回のような場で集まり、情報交換をできている時点で、情報はひろがっていき、ひとつひとつの地域が出来ることも自然と増えていくのではないかと思った。
実際栃木でボランティアとして外国人の相談を受けたり、支援をしたりしている人が、「コロナで日本語の授業を受けにくる人も減り、能力が下がってしまっていないかどうかも心配であるし、それを今後どう正していくかどうかが不安だ」と言っていた。
自分も今までの授業や課題で調べてきて、話を聞いていても思ったが、支援機関が行っている内容も知らずに日本に暮らしている外国人は多くいると思うので、その情報をまずはいち早く届ける、その届け方を見出すことが課題ではないかと思った。
この集会に参加していた人たちが行っているような支援機関と私たちのような大学生がつながり、協力し合うことはできないだろうかと考えた。SNSを使った情報提供や、現場イベントのようなものを開催するのは難しいと思うが、もっと今の若い世代の日本人がそのような問題のことを知り、さらに協力できるのではないかと思った。」(S.W.)

「今回の集会に参加して、授業の中では聞けない部分、実際の体験談や、外国人住民の現在の状況、課題を知ることができた。面白い話というよりはやはり、現在、外国人住民が抱える問題についての話がほとんどであった。それほど深刻な問題となっているということだと思う。
私たち学生ができることは何かと考えたときに、まずは外国人住民に関することを“知る”ということだと感じた。自分は今大学3年生だが、この年になるまで多文化共生については全く知ることがなかった。また地域の国際交流協会や各大学の国際課、市役所が外国人住民と共生していくためにたくさんのイベントや、活動を行っていることも知らなかった。
これからの社会を担っていくのは私たちの世代であり、今すぐには変えられないこの問題も今から私たちの世代が、外国人住民に関する問題点を知り、解決策を探り、さらに周りに周知させていくという活動をしていくことができれば、私たちが社会で活躍する頃には今よりも良い状況を作ることができるのではないかと感じた。そしてまた私たちが下の世代に伝えていかなければなくなったときにはそれまで培った経験を伝えていければいいなと思う。しかし、実際にどのように動くのか、今はまだわからない。そのため今は“知る”を積極的に行なっていく必要があると感じました。」(S.H.)

「今回のフォーラムを通して今の自分には何ができるのかを考えていたが、現在はもっと多くの世界を見て知り学ぶことができることなのではないかと思った。また今後どのようなことで国際協力できるのかはまだ分からないが、学んでいくうちに進む道を見つけたいと思う。
一番印象に残っていることはワールドカフェである。様々な立場の人がお互いに意見を言い合える時間はとても有意義なものだった。自分が思っていることとは違う意見や新しい視点からの意見を聞くことができて新たな発見ができたので良かった。ワールドカフェで自分の領域だけではなく外の世界を見てみることが大事なのではないかという話がでたがその通りだと感じた。専門性を強めると視野が狭くなりがちなため幅広い視野を持ち色々な視点から物事を見ることが大事なのだと思った。」(R.K.)

「パネルトークでは、法律や制度、福祉など多方面からの取り組みや課題を考えおり、自分が考えていた多文化共生とは違う視点で外国人について考えており、理解の幅が広がった。また、ワールドカフェで意見交換をしてみて、自分が思う役割や課題に対して、改善点や共感の意見をいただいたことで今後を考える上でとても参考になった。
特に、実際に自分が考えている多文化共生事業を発表したときに、「今度うちの団体でそれ発表してくれない?」と言われたことが自信につながったと同時に、こうやってコミュニティを形成していくのかと感じた。実習の最後に、心がけている事について話があったが、その中で「外国人だから」とカテゴライズするのではなく、同じ住民として考えることが大切で、知ることによってやさしさが生まれる、という言葉がとても刺さった。多文化共生を考えるとき、外国人目線でしか物事を考えておらず、私たちが「何かしてあげる」という意識が強かったが、同じ住民として同じ目線で、フラットな関係を作ることが必要だと感じた。」(R.K.)

「今回の授業では様々な専門職に携わる多文化共生のために様々尽力をしておられる方々を読んだ講義型の授業ということで、いつもの授業形式とは異なり、学生の仲間だけでなく専門職の皆様のお話を聞くことで違った側面から多文化共生についてお話を伺う機会が多く、とてもいい経験になりました。
またこの授業では自分のグループは専門職の方のみということもあり、学生の私からしたら私が専門職に携わるときに一体どのようなことができるのだろうかということを再認識しながら意見を出すことができたので非常に満足しております。
多文化共生の担い手としてこれからは若者が活躍していく時代であると思うので、そう言ったことを頭に入れながら、今地域などで行われている多文化共生に目を通し一人一人が未来につなげていくことが今後の多文化共生における活動だと思いました。改めて貴重な時間を過ごせたこと感謝申し上げます。ありがとうございました。」(R.A.)

「今回、多文化社会専門職機構(実践研究フォーラム)という貴重な機会に参加させていただきありがとうございました。私が今回、得ることができたのは自分が行動しようと思えば手段はいくらでもあるということです。フォーラムでのお話は、切り口が多岐にわたっており、活動からはいるのか、概念から入るのかなどとても面白くて勉強になりました。
また、「知ることによって優しさが生まれる」などの共通した概念や考え方、方向性が見えて、異なる団体であるけれども一体感のようなものを感じました。加えて、グループワークの時に学生が私一人で、ほかの方が他大学の教授と、民間団体で活動している方など学生が一人であるほうが活動や実際の活動に対してどういう風にみるのかという視点を厳しくすることができ、とてもよかったです。
そして実際に活動している人たちがどういう見方で現状を見ていてどのような改善策をとっているのかがとても勉強になりました。このフォーラムでは異なる場所で異なる活動方法をとっていても話し合いをすることで一人じゃないから頑張れるという利点があると思います。グループワークでの時間が短く、自己紹介だけで終わってしまったのが悔しく、もっとお話を聞きたかったです。最初のテーマであった「私たちがどのような活動をしていけばいいのか」について皆さんのお考えをもっと聞きたいと感じました。このフォーラムをこれからの活動につなげていくには現在ある、外国人を支援する私たちが直面している全体としての課題を洗い出し、具体的な将来像や道筋を決めていく必要があると感じました。(C.N.)

「今回パネルトークや参加者とのディスカッションを通して、様々な気づきがあった。パネルトークで話していた山岸氏は「日本政府の政策の基本は30年変わっていない」と言われ、今の日本政府が変わらなければこれから先10年もまた同じようなことを繰り返すだけなのではないかと思った。そして、その政府に対する訴えかけはやめてはいけないと思った。
また、グループディスカッションでは、民間日本語学校の校長先生と大学で日本語サポートのボランティアをしている大学生と組むことになった。お二方とも私が体験したことのないことや考えたこともない意見を持っていた。さらに二回目のディスカッションでは、国籍に関するグループに参加すると、「いつか国籍をなくすのもいいと思う」という案が出た。どちらのディスカッションでも、驚きと新鮮さがあり、気づきが多かったフォーラムになりとても面白かった。」(E.I.)

「今回、外部カリキュラムの一環として参加している学生が多くいるのではないかと推測していたのだが、実際に参加してみると一般の方、自ら参加している方、他大学の学生の方などがたくさんいてかなり驚愕した。
また、それぞれが独自の背景を抱えながら参加していたため、このフォーラムに参加した理由や、普段行っている活動等について伺うのも非常に面白かった。例えば、私と同じグループになった参加者は、日本語学校の校長をしている方と、大学で日本語教育を学んでいる学生の方だった。
ディスカッションにおいては、私が「多文化社会の大きな問題の中で、私にできることは何もないのではないか」という問いにぶつかったときに、「小さなことから積み重ねていくのが大事。やってみて、困っている人がいることを知るのが大事」という回答をもらった。自分の中で新しい価値観が広がった風に感じた。」(H.H.)

「私は今回のオンライン実習で、日本には外国人の人権や支援の現状を知るようになった。ワールドカフェの中、私は教授の山西さんと教員の百瀬さんと一緒に議論をした。この2人の意見はかなり貴重で、私はこの議論を参加するのなか、新な視野を広げるようになったが、自分の経験や知識が浅いため、議論の過程ではなかなかうまく入れなく、悔しいと感じた。 
外国人として、自分はこれから法律をもっと知るようになりたいと感じた。法律を知ることによって、外国人の人権、政府の支援も知るようになり、自分ができることも増えるようになると思う。さらに、3、4年以上日本に生活した外国人として、私も外国人のために、来日したばかりの外国人、または助けを求める外国人が直面した問題を一緒に方法を考えたい。」(W.S.)

2022年03月18日 | Posted in お知らせ, 活動報告 | | Comments Closed 

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