R7地域日本語教育コーディネーター研修 フォローアップ研修

2025年12月12日(金)に、地域日本語教育コーディネーター研修の今年度受講者及び修了者を対象に、フォローアップ研修を実施いたしました。今年度は宮崎県からハイブリッド実施をし、58名(オンライン参加52名、会場参加6名)が地域や修了(受講)期を超えて学び合うとともに、ネットワーキングの機会としました。


今年度のテーマは「住民支援の全体像の中における日本語教育の在り様を九州の実践から学ぶ」です。第1部では報告1として、一般財団法人熊本市国際交流振興事業団事務局長 勝谷知美氏より、大企業を迎えた地域は何を準備し、何が変わり、何が変わらなかったのかをお話いただきました。日本人住民・地域の変容を起こす機会となったことと同時に、国籍等を限定しすぎた支援は異なる歪みも生む可能性があるという示唆に富むご報告でした。


また、報告2として、一般社団法人GOJOplus 工藤絢花氏/本田佳織氏より、熊本県玉東町での事例をご報告いただきました。市とNGOの協働により、地域全体でウクライナ避難民を受け入れ、生活・学習・就労すべての支援設計を行うことで避難民が「主体的に暮らせる」体制を整備しました。そして、その全体支援設計の中心的な要素として日本語教教育を位置づけ、単なる語学習得ではなく、社会参加の入口として機能させ、粘り強く支援を続けられた姿勢に感銘を受けました。


第2部では、地域日本語教育コーディネーター研修修了者(2010〜2024年度)と2025年度地域日本語教育コーディネーター研修受講者33名が、小グループに分かれ、前半のご報告に対する感想や意見交換、各参加者のご実践について情報交換を行いました。会場参加者は研修講師とともに議論を交わし、大いに盛り上がりました。
参加くださったみなさまにあらためて感謝申し上げます。また、TaSSKではこれからもこのような機会を設けていきたいと思います。

参加者の感想(一部抜粋)
▪️報告1「台湾半導体メーカーTSMCを受けいれた熊本のいま」について
「地域との共生がどのように行われていくのか、興味がありました。大企業ゆえの内部成立で、地域とすれ違うことがあるとわかり驚きました。日本語教育や多文化共生の難しさと同時に面白さを感じてしまいました。」
「地域日本語支援は、「大人」と「児童・生徒」に大別されがちですが、1つの団体が一貫した活動の中で子供から大人までの支援をおこなうことで、見えてくる課題やそのための生きた対応につながるのだと 感じました。」
「特定の国の大きな企業が地方県に誘致されるとどのようなことが起きるのかがわかり、参考になりました。このところ各県が海外の機関とMOUを結ぶ動きが活発になっており、規模は異なるものの、このようなことが起こってくるのではないかと思います。県の施策による影響を見越して地域日本語教育の備えをすることがますます必要になると思いました。」

▪️報告2「玉東町における国際協力NGOと地方自治体の連携によるウクライナ避難民受入れ—なぜ玉東町の避難民は日本語を学び主体的な生活ができたのか?全体支援の文脈から考える」について
「行政と協定を結び、連絡会を立ち上げた点。その中でcan do リストを作成し、誰が担当か明確にして、やらなくてはならない点を一つ一つやり遂げた点が参考になりました。」
「地域の大小でなく、人リソースなのだとわかる素晴らしい取り組みでした。若い方々の機動力に驚きます。受け入れることの責任をとても感じました。」
「日本語教育が「自立の鍵」として機能しているという点が印象的でした。(中略)避難民支援が多文化共生事業につながった点もすばらしいと感じました。お2人の他者を巻き込んで進んでいく力に魅了されました!」

▪️「参加者同士による自由セッション」について
「(報告を聞いて)感じた感動が、どこがポイントなのか、何が重要なのか を浮かびあがらせていただき、単に「よかった~!」ではなく、「こうなんだ」と自分事(の規模)にして落とし込むことができました。」
「同じように悩んだり、迷っていたり、頑張っていたり。とても身近に感じた。仲間がいるんだ、という素朴な嬉しさ。励みになりました。」
「県は人材は育てるけど、その人たちの働きを認めていないというのが、印象的でした。日本語教師になっても地域の教室のコーディネーターでは、食べていくことはできません。私は年金生活者に今年からなるので、そろそろ次に譲りたくても若いいい人材は、日本語学校にはいても、地域には来てもらえない現状があります。」

2025年12月28日 | Posted in お知らせ, 活動報告 | | Comments Closed 

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